ソフトウェア開発のいろいろ

ソフトウェア開発のいろいろなこと一歩引いた位置から

2019-01-01から1年間の記事一覧

No.83 不完全な要求を設計するという矛盾

要求とは一部のすきもない完璧なものが来ることはない。 故に、顧客満足を得ることが困難になっています。 こんな家がほしいというものはあっても、詳細な設計図を持って来て注文する人はまずいない訳です。 そんな中で物を作るわけですから、要求分析と機能…

No.82 不完全さの中で品質保証するということ

結局、要求も不完全であるという点を出発点にしないと品質は良くならないと考えています。 プログラミング言語の文法を守るだけでは、動くだけのものしかできないのと同じように、プラスアルファの枷をはめることで、より高い品質を実現していくことになるの…

No.81 完全な要求はない

結局、掲題が結論になっていると思うのです。 完全な妥協なき要求もないし、要求が不変ということもないと思います。 そこを固めないで進むということは、後で大きく手戻りをするリスクを背負いこむことにほかなりません。 一番大きなものが、作ってから完全…

No.80 言われた通りに作ったのに作り直しになった(その2)

その1では、客自身が明確な完成イメージを持っていないことに起因する話を書いてみました。 それ以外にこれは起きるのかといえば、まだ考えられるケースがあります。 それは、勘違いや思い違いです。 そんなのは確認が足りないからだと思う人がいても当然で…

No.79 言われた通りに作ったのに作り直しになった(その1)

掲題の話題を聞くことが時折あります。 そうなるのには理由がいくつか考えられます。 これはあくまで想像のひとつですが、結構事実はそんなものかもしれません。 まず、客自身が出来上がったもののイメージを明確に持っていないケースではこうしたことが起き…

No.78 正義が一番厄介かもしれない

日韓関係を見ても、英国のEU離脱を見ても、互いの正義の食い違いが許容できないために妥協できない状況になっているように見えます。 ソフトウェアを正しいプロセスで作ったことで、売り上げがその投資以上になって返ってくるか、リコールのような巨大損失を…

No.77 選択は常にある

毎日、遅くまで働くような状況は今の日本では少なくなったかもしれない。 しかし、いつも開発は遅れていき、常に追い詰められている感覚の中で日々を生きている人はいるかもしれません。 何故「いつも」開発は遅れるのか? 開発が遅れる理由は様々なのでしょ…

No.76 組込みの世界の特殊性

昔は正しくない開発手法を続けている会社は淘汰されてしかるべきという考え方をしていたものでした。 そんな理屈で世の中を見ていた自分は、北朝鮮の政治が持つはずはないと思っていたのに、もう何十年もその体制は維持されています。先はわかりませんが、少…

No.75 何故、完全なものができないのか?

できないことになっていると言った方が正しい気がする話ですが、理由はちゃんとあると思っています。 まず、プロセスのどこかに完全なものがあるという思い込みが不幸への序曲です。 頼む側すら完全な要求など持ち合わせていません。 なのに言われた通りに作…

No.74 緻密さと大胆さ

ラグビーワールドカップを見ながら、これについて書こうと思ったのでした。 何かを決めるときに、判断に迷うということは、情報の不足です。 ここで、緻密に結論が出るまで調査を行うか、大胆に見切って道を切り開くか状況によって変わってきます。 どちらが…

No.73 何がソフトウェアの価値を決めるのか

結局は人であるが、価格相応の価値を認めない限りはソフトウェアの価値は存在しない。 組み込み製品において、客がいくらソフトに払っているのか、それはかなり低い。 残念なことだが、それが事実であろう。 これで良い訳はないが、これを変えるには社会的な…

No.72 トラブルシュート

トラブルを収束させるのは結構大変です。 そんな時にどうやって解決するか、勘が働いて1つ目か、2つ目か最悪でも3つ目までで当たりを引ければ、見立て通りですぐに直ります。 さて、それでもダメなときは、やはり地道な消去法に突入するしかありません。 …

No.71 組込み開発における悲劇

何が悲劇なのか、組込み製品に搭載されるソフトウェアに客はどれだけのお金を払っているだろうかという点です。 ソフトウェアだけの製品ではこんなことは考えられません。 これが悲劇を生む元です。 ソフトウェア開発の十分な体制、環境、育成の仕組み、これ…

No.70 想定外で済まされても

台風で被災された千葉の方々には、本当に大変だと思いますがくれぐれもご自愛ください。 さて、災害の被害を見ると、過去の経験に基づいて設計されたものの想定を超えたときに大きな被害が生まれてしまうと感じています。 ものづくりにおいて、想定はとても…

No.69 環境の影響はどうしてもある

純粋にソフトウェア開発を極めるのであれば、組み込みよりソフトウェアだけで製品となるものの開発現場に行ったほうが得るものは多いと思う。 組み込み系だとソフトウェア開発以外の事情に左右されることも多いと思います。 まず製品としてのソフトウェア。…

No.68 外を見るべきと思う理由

ソフトウェア開発という作業は、相応の時間、作業に集中しなければならないものです。開発が遅れて、次の開発まで雪だるま式に影響が出る状況になったりしたら、ソフトウェア開発者には息つく暇も与えられない状況になることだって考えられます。 そうなると…

No.67 開発と会社

ソフトウェア開発に関して理解のない会社でも、儲かっているのならつぶれることはありません。 多くの人はソフトウェア開発現場で起きていることは知らないし、理解しようとしません。 正しいと言われるものが、降ってきて、やれと言われて、やろうとしても…

No.66 失敗なのか失敗ではないのか

開発計画通りに進まず、納期遅れとなった開発があったとして、これがちゃんと失敗になっていない組織は、次も遅れるように思えます。 遅れることが失敗でないなから、原因が追究されず、改善策も練られず、何の対処もなく、同じように次の開発に突入します。…

No.65 〇Payサービスの終了に見る組織の問題

最近有名な掲題の問題ですが、さて、開発サイドはどうだったのか気になっています。 もともと、単独のサービスでもう少し後で投入される予定だったこのサービスを、コンビニ内のサービスの一部として投入しようという仕様変更が入ってきたという情報がありま…

No.64 機能しない組織

どんな組織でも権限委譲により任されている範囲とそれを超えた問題はエスカレーションするルールがある。 しかし、これをほぼ無視してしまう組織も稀あったりする。 そうなると、孤立した下の部分と、理解を示すことのない上に組織の構造は完全に分断されて…

No.63 まだ解決できていない問題

基本、ソフトウェアに限らず、モノづくりの組織では、手に負えない問題は上にエスカレーションして解決をお願いします。 しかし、とある組織では「ソフトはわからない」ということが市民権を得ていて、経営者ですらそういってしまう組織があります。 これは…

No.62 品質が悪くなる作り方

品質が悪いのは、極論すれば最初から悪くなるような作り方をしていると考えてもいいように思っています。 本来、開発プロセスが洗練されてきた経緯を鑑みれば、品質を悪くする要素を少しでも早く取り除こうとする方向にプロセスはできています。ドキュメント…

No.61 品質が悪い理由

品質の悪さは、不具合などに現れるものであるが、おそらくダメなものは最初からダメな理由があると考えています。 改善のポイントがあるということは、悪いか不十分な点があると言うことを意味します。 悪いものが出来上がったのではなく、悪くなるように作…

No.60 エンジニアの観点でホンダのF-1での優勝を祝福します

復帰して5年目に勝利を手にしたホンダのPUですが、本当に厳しい時間を過ごしたと思います。 エンジニアの観点からみても、よく撤退しなかったなと思える期間でした。 この状況下で1年目はレギュレーションの解釈の問題があって、2年目、3年目と先行す…

No.59 闇営業の不思議

報道を見ていると不思議なことがある。反社会的○○の情報がまったくニュースから挙がってこない点です。絶対に触れないというマスコミの断固たる姿勢なのか・・・筆者の考えすぎなのか。 正規の営業でないルートでの営業なので闇営業ということですね。 開発…

No.58 不測の事態は起きる

自宅のPCの外付けHDDをバックアップした翌日にそのHDDが読めなくなりました。 奇跡のようなタイミングだったのですが、これは単に運がよかっただけなのでしょう。 モノづくりにおいて、ハードが壊れたとしてそれに従って動くだけのソフトでいいのかという問…

No.57 人はミスをする

たった一つの普遍的な事実である人はミスをするということが、モノづくりにおいては究極の難敵になる可能性があります。使い手も、作り手も、テストをする人もミスを犯す可能性があるわけです。 成熟した組織は、それに対抗する手段としてプロセスを考え出し…

No.56 想定外では済まない

横浜の列車逆走事故を見て、逆走することは想定外で、ぶつかる前に止まるような仕組みはなかったとのことで、まあ、そういう見解は作り手からすればわかる話ともいえる内容でした。 しかし、自分が乗り合わせていたら、やはり許せないものがあるとは思います…

No.55 悪意のある人には勝てない

性悪説を前提としても、最初から悪意のある人には簡単には勝てないものです。 無差別に人を襲うような悪意のレベルには、日常的なものでそれに対応することはできないと改めて自覚するほかありませんでした。 モノづくりにおいて、使う人がこちらの意図通り…

No.54 芸能人の凋落を見て

禁止薬物の使用で、芸能人が逮捕された。 確かにプレッシャーのきつい仕事だとは思うが、そこまでのことになるには、いろいろなことがあったのだと思う。 ソフトウェア開発現場では、昔は蒸発してしまう人も出るほど過酷な職場で、非常に悪いイメージで言わ…