第1章 納期は早々に決まり、仕様はいつまでも決まらない
その2 そして仕様は遅々として決まらない
開発はスタートしてしまうが、仕様はいまだ決定していない。決めてもらえるように頼んではいるが、いつまでも決まる様子はなく時間だけが過ぎていく。
待てる限りは待つが、仕方ないと手を付けられるものから手を付ける。派生開発においては、従来のままの部分も多いが、ハードの変更などで手を入れなければならないものは多い。
こちらが焦れて待っているのは伝わらないのか、遂に手を入れられる部分は尽きてしまう。
そしてまた決めてくれと伝えるしかないのだ。
さて、特に組み込み開発では、ありふれた状況なのかもしれないが、時間がお金だと考えられない現場だと、こういうことはあるようです。
どんな人でも決まっていないものは作れないのが真理です。
ここで、決めてもらえないから仕方ないという思想にはまり、組織に絶望して辞めるか、諦念の中で惰性で仕事をしていくかとなることは多いように思えます。
しかし、人を動かすには、それなりにコミュニケーション能力が必要になります。この部分では開発力が高い人でも苦労することが多いようです。
人と人との間、組織間、いろいろな問題がありますが、これも問題解決の一つなのだと思っています。さりとてどうするかとなると、人によっても組織によっても解決策は異なります。
ただひとつ分かっているのは、誰にも守りたい正義があるのです。
それに対する共感なくして味方になることはあり得ません。これが問題解決の第一歩だと考えています。