ソフトウェア開発のいろいろ

ソフトウェア開発のいろいろなこと一歩引いた位置から

No.18 過去に例を見ないからといってあきらめることは出来ない

 

 No.15でも書いたのですが、異例のことだったり、未だかつてないものだったりすると、大きな被害を受けてしまう災害が出るもののようです。

 開発の現場で、特にインデント開発の現場では、まだ誰も見たことのないものを作ることが多くあります。
 つまり、依頼している客でさえも、見た事がないものを作ることになったりするわけです。

 その対象物を作ったことがある人は一人もいない状況で戦いは始まり、想定外の出来事と戦い続けて、身を粉にして戦い抜き、納品に至ったりすることも決して絵空事ではなく、実際にあったりします。

 こうしたときに、状況の悪さを決定付けるのは、人の想定力というか、読みの深さ(浅さ)なのだと思います。
 結局、平たく言えば、心配する量のようなものでしょうか。

 闇雲に不安を訴えるだけでは、周囲を動かすことは難しいし、自分だけで抱え込んでは精神衛生上よろしくないと思います。

 その自分の状況さえ、予め想定して、先手を打てるぐらいの周到さがないと追い詰められるだけで、やがて事態は閉塞してしまうのでしょう。

 上の人間は、怒る以外に出来ることがなくなり、下の人間は、自分の守備範囲を守るだけで精一杯になってしまう。
これは、もう人の働く場所ではないレベルになってしまうことも起きないことではありません。

 何を変えると結果がどうなるか、その想定力だけが道を切り開いていく術になります。
 設計者は、対象物も、その開発プロセスも、自分の仕事に向き合うスタンスも全て設計していく力を身につけると豊かになれると思います。

 自分が客だったら、あきらめられないことを、作り手が先にあきらめてはならないのです。
 新しい世界を切り拓く人には、相応の苦しみがあるのでしょうね。