No.182 ドリルと穴と
・なぜ要求は難しいのか
一言でいえば、入力に関しての統制が一番効かないものだからです。
様々なステークホルダーが、それぞれの立場から、それぞれの考えで、要求してくる訳ですから、難しくない訳がありません。
・善意のなせる業
要求というのは明示的なものとそうでないものがあります。そして言われた内容にも、真の要求でないものがいっぱいあります。
有名なのは、「ドリルを買いに来た人が、本当に欲しいのは穴である」の言葉通り、口から出るのはドリルが欲しいですが、真の要求は穴です。
では、その人は穴が欲しいといわないのは何故か。
実は善意なのです。
・明示してくれないのは
何故、善意で真の要求を伏せるのか。それは善意で、「あなたに期待するのはこの部分だけです」とステークホルダー自身が、相手の役割を決めてしまっているのです。
しかもそれは悪意ではなく、善意によるものです。
「駅に行きたいのですが。」
そのように問われたことはありませんか、そう、相手に期待するのはそこまでだからです。
こうして善意の向こうに真の要求は隠れてしまうのですね。