ソフトウェア開発のいろいろ

ソフトウェア開発のいろいろなこと一歩引いた位置から

No.94 わかっていないことがわかること(普通と常識の局地性)

 

 ソフトウェア開発者ほど、幅広い分野の専門家を相手をする商売はちょっとないと思います。

 肩書は同じソフトウェア開発者でも、医療関係と原子力関係のソフトウェア開発者が普段使っている言葉は、お互いに会話にならないほど、専門用語が違っていると思います。


 そんな状況で、その道の専門家の「普通」とか「常識」は一般のそれとは大きくかけ離れていることも珍しいことではありません。

 つまり、「普通」と言われて、自分の中の「普通」で補填してしまうと、実は全然違うものになることもあり得るわけです。


 要求の時点で、「普通」なことは当たり前すぎて書かれていないことがいっぱいあります。しかし、局地的な「普通」や「常識」を知らない人にとっては、想像しても追いつかないレベルにあることも多いです。

 だから、自分がわかっていないことをわかる能力が実は必要なのです。
 
 そこからその溝を埋めるための質問力のようなものがいるのでしょう。

 どれだけ高いレベルでソフトウェアを組める力があっても、要求を正しく理解できないのでは、その能力が泣いてしまいます。
どの工程でミスがあっても結局、完成品はうまく仕様を達成していません。

 人に委ねるとしても、完全に信用できるのか、そこまで吟味するくらいの周到さがいるものだと思います。