ソフトウェア開発のいろいろ

ソフトウェア開発のいろいろなこと一歩引いた位置から

No.25 言われたとおりに作るということについて

 

 さて、ソフトウェア品質シンポジウムに行って、「言われたとおりに作ったのに作り直しになった」という発表者の言葉から、何故これが起きるのか少し考えてみたいと思いました。

 要求は開発にはなくてはならないものですが、一番幅が広いものともいえると思っています。

 本当に、この表示の○○を××にして、のようにものすごく細かなものから、とにかく何とかして! のようなものまであります。

 この要求の幅の広さに対して人のスキルが十分かどうかがひとつのポイントになると考えています。

 要求が問題とか課題そのものを何とかしてほしいという場合は解決策を依頼者と一緒に作っていくような工程を必要とします。

 要求が既に解決策を示している場合、本当に誤解の余地がないほど細かなもの(前述の表示の修正のようなもの)であれば、いいのですが、必ずしもそうではありません。

 

 ここで、考えなければいけないのは、開発することも、納入することも、手段にすぎないということです。

 客が解決したいことを解決する手段として、それを評価していないと、客を満足させれない恐れがあるということでしょう。

 手段なのに、達成すべき目的を知らずに作ることは、作り手の怠慢なのではないかということです。


 良い物を作りたければ、そこに妥協は許されない。言われたことをやるというスタンスでは、そこに到達することはできないのではないかと筆者は考えています。